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「ハイサイおじさん」の歌詞の意味とは?甲子園応援歌で注目された名曲の悲しい背景

むの
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2025年夏の甲子園で、沖縄尚学(沖尚)が優勝を飾りました。

その試合で演奏された応援歌「ハイサイおじさん」がSNSなどで話題となり、「歌詞の意味を知りたい」と検索する人が増えています。

むの
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私も甲子園自体には興味がなかったのですが、この歌が気になり観戦していたひとりです

明るく耳に残る楽曲ですが、実はその裏には、沖縄の激動の時代を背景にした切ないエピソードがありました。

この記事では、「ハイサイおじさん」の歌詞の意味や誕生秘話をわかりやすくご紹介します。

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「ハイサイおじさん」という曲について

  • アーティスト:喜納昌吉 & チャンプルーズ
  • 初収録:1969年(地元マルフク・レコード)
    • 民謡歌手だった喜納昌吉さんの父親のレコードに収録される
  • アルバムリリース:チャンプルーズルネッサンス
  • シングルリリース:1972年、30万枚の大ヒット

「ハイサイおじさん」は、沖縄県出身のミュージシャン・喜納昌吉さんが10代の頃に作曲した楽曲です。

沖縄民謡をベースにした明るいメロディと、沖縄の方言(うちなーぐち)を取り入れた独特の歌で、ウチナーポップの先駆けとも言われています。

歌が生まれた背景

少年時代の体験から生まれた歌

「ハイサイおじさん」は、喜納昌吉さんが少年時代に隣人だった「おじさん」をモデルに作られたと言われています。

新聞社の過去の特集記事によると、このような逸話が残っています。

  • おじさんはある事件をきっかけに酒に溺れ、孤独に生きていた
  • 喜納少年の家に酒を無心に訪れることが多かった
  • 両親はおじさんのことをよく思っていなかったが、喜納少年はこっそり交流していた
  • そのおじさんのために初めて作った歌が「ハイサイおじさん」

激動の沖縄社会の影・おじさんを襲う事件

「おじさん」自身にも複雑な背景がありました。

凄惨な事件

ある時、おじさんの妻が精神に異常をきたし、七歳になる実の娘の首を斧で切り落として煮るという事件をおこしてしまったのです。

女の子が毛布に包まれて横たわっていた。父親が『なぜこの子の足は冷たいの』と毛布を取ったら首が無い。父親は魂を落としたような顔で、しばらく言葉を失った。
引用:共同通信社の特集記事より

その後妻は自殺し、おじさんは酒に溺れていったそうです…。

おじさんの過去

妻の気が狂ってしまった原因は、酒に酔ったおじさんが、戦災ホームレスの女性たちを家に連れ込んでいたからと言われています。

喜納昌吉さんが生まれた頃はまだ沖縄戦が終わったばかりで、多くの住民が生活基盤を失い、ホームレス化していました。

また、おじさんには虚言癖があり、喜納少年に自分は校長をしていたと話していましたが、実際は遊郭の客を運ぶ仕事をしていたそうです。

少年との交流

事件のせいで村八分となったおじさんは、交友のあった喜納家に酒を無心に来るようになったといいます。

この孤独で可哀想なおじさんとのふれあいの中で、彼のための歌を作ってあげようと考えた喜納少年

そして、生まれて初めて作詞作曲したのがこの「ハイサイおじさん」だったのだそうです。

むの
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戦後沖縄の激動の時代の中で起きた、人間の悲喜こもごもが歌になったのです

歌詞の意味を簡単に解説

「ハイサイ」とは

この曲で一番耳に残る言葉「ハイサイ」

「ハイサイ」とは沖縄の方言で「こんにちは」の意味。女性形の場合は「ハイタイ」となります。

沖縄方言の全てに男女別の言葉があるわけではありません。
代表的なものがこの「こんにちは」です。
男性は「サイ」、女性は「タイ」と語尾を変えることが特徴。

歌全体の意味

歌詞は、全編を通して少年とおじさんの他愛のないやりとりをユーモラスに描いています。

  • 少年「こんにちはおじさん、昨日の酒は残ってない?」
  • おじさん「おいおい小僧!ガキのくせに酒を欲しがるのか?」
  • 少年「こんにちはおじさん、僕も大きくなったからお嫁さんが欲しい。娘さんをください!
  • おじさん「おいおい小僧!ませたガキだな!」

こんな感じです。

一見すると明るい掛け合いですが、実際には孤独なおじさんと優しい少年の交流が投影されており、笑いと哀愁が同居する歌となっています。

「ハイサイおじさん」が広まった理由

「ハイサイおじさん」はまず沖縄で人気を博します。

その後、関西でのヒットから全国へ知名度が広がり、志村けんさんが「変なおじさん」という替え歌として歌ったり、数々のアーティストがカバーしていきます。

甲子園:沖縄県勢の応援歌へ

甲子園と野球のイメージ

そしてついに、沖縄県勢の応援歌(チャンステーマ)として採用され、耳に残る「魔曲」として話題となっていきます。

一時は「歌詞が高校野球にそぐわない」として自粛された時期もありましたが、ファンの要望から復活。現在は沖縄県勢応援の象徴的な曲となっています。

まとめ

ハイサイおじさんはこんな歌だった!
  • 「ハイサイおじさん」は喜納昌吉さんが10代で作曲した沖縄ポップスの名曲
  • 明るいメロディの裏には、戦後沖縄で起こった事件や人間模様がある
  • 歌詞は少年とおじさんのユーモラスな会話を描いたもの
  • 現在は沖縄の応援歌や全国的なポップカルチャーにも影響

以上が「ハイサイおじさん」の歌詞の背景でした。

甲子園をきっかけに耳にした方も、この曲の背景を知るとまた違った味わいを感じられるはずです。

沖縄のポップスには他にも興味深い歌が沢山あります。興味があったらぜひ調べてみて下さい。

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