コロナ禍の巣ごもりにより、ペットを飼う人が増えたというニュースをよく聞きます。
一方で、ペットが捨てられたり保健所に持ち込まれることが増えた、という話も聞きます。
多くの人が癒しを求めて飼いはじめるペット。ADHD当事者の中にも、お迎えしたいと考えている方がいるのではないでしょうか?
そんな方に水を差すようで申し訳ないですが、お伝えしておきたい情報があります。
それは、ADHDの人がペットを飼うのはオススメできない、8つの理由です。
発達障害はペットの世話ができない?
なぜデメリットの記事なのかというと、発達障害でADHDの私自身がペットを迎えて困ったことが多かったから。飼ってから違った…となることを減らしたいからです。
もちろん、困りごと以上に幸せなことがたくさんありますが、飼い主とペットの双方が幸せに過ごすために、ADHD特性と相性が悪い部分を知っておいてほしいのです。
もし、「今すぐペットを飼いたい!」という強い気持ちを持った発達障害の方がいましたら、私の体験談を踏まえて考えていただければ幸いです。
ADHDの人がペットを飼うのをオススメできない、理由8つ
(1)自分にもペットにもお金がかかるから
ADHDの人は、生きるために定型発達の人よりお金がかかる傾向があります。
- 日々の家計
- 毎月の通院、薬代
- 無くしたものを再度購入する費用
- 障害特性をカバーするための道具を買う費用
- (感覚過敏の人は)自分に合うものを定期購入する費用
などです。
これに加えてペットを飼うと、月々のお世話代の他に、ワクチンや突然の通院などが発生します。ペット飼育可能な部屋に住む必要があるので、家賃もかなり上がるでしょう。
この費用をカバーするだけ収入があれば良いのですが、そこまで稼いでいる方は少ないのではと思います。現在の収入ではやりくりが大変になることは明確です。
(2)飽きっぽい性格だから
熱しやすく冷めやすい性格が多いADHDの人が、数年から十数年生きるペットを世話するのはなかなか大変なことです。
子猫や子犬の時は日々成長していく変化があり、新鮮な気持ちでお世話ができます。しかし、動物が大人になるのはあっという間です。
大人になってからは毎日同じことの繰り返しになります。
コツコツやるのが苦手なADHDです。途中で飽きてしまう、他のペットに目移りする可能性があります。
自分はそういうことがありそう…と少しでも思う方は一度冷静に考えてみてください。
(3)長期計画を立てるのが苦手だから
ペットによっては数十年と非常に長生きする種類もいます。
1年先のスケジュールを立てることも苦手なADHDの人が、この長さの計画を考えることはかなり難しいと思います。
自身が転職・結婚・子育てなどで忙しくなった時に、ペットが高齢になり介護が始まる可能性もあります。
ペットが飼えない所に引っ越すこともあるかもしれません。その時ペットを引っ越しさせたり、連れて行けない場合に託せる人はいるでしょうか?
ライフプランなしに、衝動に任せて飼うことは絶対にやめましょう。
せめて、自分の人生でこのあたりなら飼っても大丈夫そうだ、という目安は持つべきです。
(4)お世話を忘れる・先延ばしするから
ADHDのうっかり忘れと先延ばしがペットの世話で起こると危険です。
ご飯をあげたつもりであげていなかった。掃除をサボり続け、ペットゲージや食器類がひどく汚れるなど、ペットの命に関わってしまう場合もあります。
年一回のワクチンや健康診断なども先延ばしにしてしまい、病気にさせてしまうかもしれません。
(5)睡眠不足によって障害特性がひどくなるから
ハムスターや猫など、夜行性のペットは人間が眠る深夜や早朝に動き回ることがあります。
ペットの性格やしつけによっては、要求鳴きという行動を取ることもあります。これは、夜中に鳴き続けて飼い主を起こし、ご飯をねだる、遊んでもらいたがるといった行動のことです。
これらの騒音問題は、ただでさえ睡眠の質が悪いADHDの人をさらに苦しめることになるでしょう。
寝不足で朝から頭がぼんやり重いまま仕事に。そしてミス…ということが数年続いています;
(6)集中力を削がれるから
ペットを室内で自由にさせている場合、仕事や勉強中に構って攻撃をされるとADHDの人は注意がそれてしまいます。
ペットがいる部屋と仕事場所を分けられれば良いですが、そうでない場合や、鳴き声が聞こえる環境だと集中することが難しくなります。
自分の特性と照らし合わせて大丈夫かどうかの見極めが必要です。
(7)部屋が散らかりやすいから
ADHDの特性で多いのが「片付けられない」というものです。ひどいと汚部屋と呼ばれる状態になってしまう方もいますよね。
物が多い部屋はペットの誤飲事故が起こることもあり、大変危険です。
また、ペットがいる部屋は抜け毛や粗相、色々なもので汚れるスピードが早いです。日々の掃除が行き届かないと、ペットと人間双方の病気の原因になることもあります。
(8)多頭飼育崩壊につながる可能性があるから
「多頭飼育崩壊」という言葉を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。
猫や犬を世話しきれない数まで増やしてしまい、人間の生活ができなくなる、動物が世話されず亡くなってしまうという状況です。
なんらかの精神疾患・障害などを抱えた人が起こしやすいと巷では言われています。その中には発達障害も含まれます。
飼い始めた時は問題がなくても、あとから二次障害の精神疾患が出てしまう。体調不良になった時お世話ができなくなる、という可能性がADHDの人は高いのです。
特に、一人暮らしのADHDの人は常にキャパオーバーの状態であることが多いため、ペットが加わると一気に崩壊する場合もあります。注意しましょう。
それでも飼いたいという人は
デメリットを読んで「私にはやはり無理そうだ」と思った方も、「行ける!」と思った方もいると思います。
ここからはデメリットを知った上でペットを飼うことについて書いていきます。
やはり飼えないと思ったら、動物施設を利用する
ADHDの人がペットを飼いにくいポイントは「日々の世話が難しいこと」です。
これに対して、あえてお世話は外注し、ペットのいる生活の良いところだけ体験する案を用いるのはどうでしょうか?
猫カフェや犬カフェ、看板ペットのいる宿などを利用して、動物と過ごす癒しの時間だけ味わうのです。
費用も、施設の利用料金<<<ペットを終生飼育する費用なので、圧倒的に安く済みます。
家族で協力して飼う
ご家族がいる方は、全員でペットのお世話を分担することで負担が少なく飼うことができます。
複数人の目や手があるので、何かあった時も協力し合えて安心です。
一人で飼い始める予定の方も、何かあった場合は家族が引き継ぐ、といった約束をしておくことで安全度が高まります。
「意思表示ができる動物」を選ぶ
犬、猫、鳥、ウサギなど、自分から意思表示をしてくれる動物を選ぶと安全です。
爬虫類や水棲生物など、自分から異常を知らせることが難しいペットは、飼い主が日々観察していなければなりません。ADHDの人には難しい飼育方法だと思います。
飼うと決めたら覚悟と計画性を持つ
私はADHD診断前にペットを迎えました。正直、計画が甘かったと感じています。
しつけを甘くしすぎたため要求鳴きが酷くなったり、仕事の帰りが遅くお留守番が長引いてしまうなど…。さらに、現在は無職ですから収入面も心配の種です。
そのようなことがあり、あらためて自分とペットのライフステージを考えた人生計画表を作成しました。自分がいくつの時にペットは○歳で何が起こりそうか、などをあらかじめ想定した計画表です。
場当たり的に対応するより準備しておけることが増えるので、して損はないと思います。
おわりに
ここまで飼わない方がいい理由を書いてきましたが、決して飼えないということではありません。
ADHDがあってもペットは飼えますし、お世話もしっかりできます。
最初の頃こそ何度かうっかりがありましたが、命に向き合う責任はそのうっかりも吹き飛ばしてくれます。いつのまにか息をするようにお世話が習慣化していました。
また、案外人間が抜けている分ペット側がリードしてくれることも多いです。
最後は障害の有無に関係なく、その人のペットに対する愛情と責任感が全てだと感じます。
ADHDの人は今すぐ飼いたいという衝動に流されず、自分の特性や現状を一度見直した上で、最後までお世話ができそうなら迎えてあげてほしいです。
以上、ADHDの人がペットを飼うのはオススメできない、8つの理由でした。
お読みくださりありがとうございます!