「#発達当事者が感謝している育てられ方」に集まった意見まとめと分析の備忘録
2024年の年末、X(旧Twitter)でこのようなハッシュタグの投稿が話題になりました。
#発達当事者が感謝している育てられ方
きっかけはCBさんという、長年ADHD当事者の困難や生きづらさについてSNSで言語化・発信を行っている方のポストです。
このタグには当事者の方から非常に多くの意見が寄せられ、実際有益な情報も多数含まれていました。
SNS上ではいずれ流れて埋もれてしまうこの情報を備忘録として残したいと思い、今回記事にまとめました。
Contents
「#発達当事者が感謝している育てられ方」で集まった意見
ハッシュタグに集まった意見はおよそ1500件程。一時トレンドにも乗っていました。
投稿内容はポジティブ、ネガティブな内容が両方寄せられ、それぞれに共通する傾向が見られました。以下に代表的なものをまとめます。
ポジティブな意見
- 自分のペースを大切にしてくれた
- 無理に周りに合わせさせなかった
- 失敗しても過剰に責めず、成長を見守ってくれた
- 特性を理解し、柔軟に対応してくれた
- 療育や専門家のサポートを受けられる環境を整えてくれた
- 習い事や教材に投資してくれたことで、得意なことを伸ばせた
- 本をたくさん読ませてくれた
- 色々な経験をさせてくれた
- 経済的に支えてくれた
- 食事、挨拶、時間、お礼などの基本的なマナーをしっかり教えられた
ポジティブな意見には、「見守る」「個性の尊重」「強制しない」「サポート」といったキーワードが共通して見られました。
子の発達障害を頭ごなしに否定せず、おおらかに受け入れ、支援を惜しまなかった親の態度に感謝を示している当事者が多かったです。
ネガティブな意見
- 特性を理解されず、否定されることが多かった
- 周囲と比較され、自己肯定感が下がった
- やりたいことをやらせてもらえなかった
- 親の理想を強制された
- 親も発達当事者で家庭環境が悪かった
- 虐待を受けていた
- 経済的な支援をしてもらえなかった
- 療育や福祉に繋げてもらえなかった
- 生まれたくなかった、産んでほしくなかった
一方ネガティブな意見では、いわゆる「親ガチャ」にはずれてしまったと思われる当事者が多く、生育環境の悪さや精神的な苦痛に関係する内容が多く見られました。
CBさんもそのあたりは理解しているとのことでした。
発達当事者にとって良い養育環境とは
ハッシュタグの意見を分析すると、良い育てられ方の条件として以下の内容が挙げられます。
- 親が子の発達障害にしっかりと向き合っている
- 親(どちらかでも)の精神が安定している
- 親に先を予想できる常識や知力がある
- 子の個性や特性に寄り添った療育をする
- 子が「社会」に属せるようにマナーや経験を積ませている
- これらを行える十分な経済力がある
発達障害者の養育においては、親が子の困難をあらかじめ予測し、対処していく力をつけられるようサポートする必要がありそうです。
また、特性を尊重した支援を行う上で親の経済力・安定感も強く影響していることが分かります。
これは定型発達者の養育においても同じだと思われます。
どんな子どもにも安心して頼れる養育者と環境が必要です。
まとめ:寄せられた意見から見えた希望
発達当事者の親には毒親が多く、辛い教育を経験しているというイメージが一般的です。
そんな中、このタグによって健全な家庭もあるということが再発見されました。
昨今、障害者が子どもを生み育てても良いのか?という厳しい意見も見られますが、このような条件を整えられる親であれば問題はないという証明になるのではないでしょうか?
そもそも子育てに100%の正解はありません。
現在発達障害を持つ子を育てている方が、悩んだ時このような声を見てくれたらと思い、ここに記事を残します。